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デプスインタビューとは|ユーザー心理を深く理解するアプローチ方法

2024.08.05 更新

#UX/UI#マーケティング

ビジネスの成功には「ユーザーの真のニーズの理解」が欠かせません。特にUXデザインの領域では、対象ユーザーの深層心理をどれだけ理解できたかが、プロジェクトの成否を左右します。今回は、私たちがユーザー理解を目的として活用する手法「デプスインタビュー」について紹介します。

目次

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    デプスインタビューとは

    デプスインタビュー(Depth Interview)は、深層=定性的な個人の意見や感情、動機を深く調査する手法です。インタビュアーが対象者と密接に対話することで、アンケート等の定量的な調査では見えない情報を引き出します。インタビューは主に1対1、または少人数で行います。

    デプスインタビューの目的と特徴

    デプスインタビューは対象者個人に焦点を当て、背景や動機などの潜在的で複雑な情報収集や理解をするための「定性調査」です。信頼関係を築きながら対話することで、時にセンシティブな内容を聞き出したり、新たな発見に基づいて柔軟に質問を追加・変更しながら進められる特徴があります。

    「定量調査」と「定性調査」の違い

    アンケートのような「定量調査」は、多数のサンプルを数値的に見て傾向を把握するのに長けています。一方、デプスインタビューのような「定性調査」は、数値では見えない「性質」の深掘りに長けています。定量は「量」、定性は「質」を調査する違いがあります。

    デプスインタビューの種類

    構造化インタビュー

    予め定めた質問リストに沿ってインタビューを行う手法です。複数名に一貫性のある質問を行うことで、比較しやすいデータを収集できますが、自由な意見や洞察を得るには限界があります。
    例)サービス利用後の初期反応の調査

    半構造化インタビュー

    ある程度の事前の質問を用意しながらも、インタビュー中に新たな質問の追加や変更を行う手法です。参加者の発言に応じて深く掘り下げることができるため構造化インタビューよりも深い理解を得ることができます。
    例)サービス利用時の体験や感想の調査

    非構造化インタビュー

    事前に設計された特定の質問は最大限減らし、自然な対話を通じて参加者の本音や動機を探るインタビューの手法です。アドリブも交えて自由な意見やストーリーを引き出すことで、より潜在的な洞察が得ることができます。
    例)サービス利用に至る生活様式や価値観の調査

    上記のように、目的に応じて3つの構造パターンのインタビューを使い分けます。構造化インタビューによる一貫性のある情報収集と比較して、半構造化や非構造化インタビューを効果的に行うには、設問設計、洞察力、質問力、分析力、コミュニケーション力、予定調和ではない洞察を紐づけてレポートにまとめる編纂力など、高い経験値とスキルが求められます。

    他の調査手法との使い分け

    グループインタビュー

    複数の対象者が同席するインタビューです。リアルタイムで意見の多様性が見え、参加者間の相互作用による新たな洞察を得ることができるメリットがあります。デメリットとしては、1名を掘り下げる深度が浅くなります。

    エスノグラフィー

    対象者の生活様式や行動を深く理解するため、実生活の環境に入り込んで観察する手法です。デプスインタビューでは発見しにくい日常生活と紐づけた課題、対象者自身も気にしていない無意識的な課題などを客観的な観察で発見できます。

    アンケート調査

    大勢の対象者に固定の質問リストを配布し、回答データから傾向を探る定量調査です。多数の回答から傾向値を探るのに長けています。まずアンケート調査をして、傾向から大きく外れた回答者にデプスインタビューを実施するなど組み合わせるのも有効です。

    デプスインタビューのプロセス

    • 対象者の選定

      調査対象者の質が調査の成果を大きく左右します。調査目的に適した対象者像を設定し、条件や背景に合致する対象者を選定します。

    • インタビューの設計

      限られた時間内に目的の結果を得られるよう設問を設計します。調査対象者が答えやすいようオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使いわけ、対話の流れや順番、テーマにかける時間や優先順位を考慮しておきます。

    • 事前準備

      日程調整、設備(マイク、ビデオカメラ、オンラインの場合はPCや録画のアプリ)、リラックスしやすい環境の準備、プライバシー保護など、調査対象者が答えやすい環境を配慮します。

    • 調査の実施

      対話を通じて質の高い情報収集を目指します。インタビュアーは対象者に余計なバイアスを与えず、気持ちよく回答できるよう中立性を保ちながら話を引き出したり掘り下げたりします。

    • 分析とレポート

      収集した情報は、目的に沿った形で事実や分析や考察を明確に分けてレポートにまとめます。インタビューやレポートの内容がきちんと関係者の共通認識になるよう、書面だけでなく要点を報告する会を行うなどの工夫も大切です。

    まとめ

    デプスインタビューは、UX/UIデザインにおいてユーザーの理解を深める有効な手段ですが、準備設計からレポートまでを一貫して行うのは比較的高い負荷が伴います。構造化インタビューから開始して徐々に慣れるなど、難易度の低い順に段階を踏むのがコツです。

    この記事が、デプスインタビューという手法についての理解を深めるとともに、UX/UIデザインの分野でのより良い成果につながることを願っています。

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    Teamやぶさめ

    TDS マーケティングチーム

    テイ・デイ・エスのマーケティング戦略から実施までを担う少数チーム。
    デザインカンパニーとして題材の深堀りやコンテンツの作成や発信を行う。