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デジタルのハーバード大学!?「Hyper Island(ハイパーアイランド)」とは?

2024.08.26 更新

#Hyper Island

『Hyper Island』と聞いて、何を思い浮かべますか?直訳すると、『ぶっとんだ島(!)』となりますが、島の名前ではありません。北欧・スウェーデンから始まった、ビジネススクールの名前です。このビジネススクールは、名前からも想像できる通り、そのユニークなデジタル・イノベーション教育と、ビジネスコンサルティングで知られ、『デジタルのハーバード大学』とも評されています。当ブログを運営するテイ・デイ・エスは、Hyper Islandと協業し、日本でHyper Islandの思想や学びを広げる事業を展開しています。この記事では、Hyper Island および、Hyper Island Japanについて、あらためて紐解いていきたいと思います。

目次

    Hyper Islandとは?

    Hyper Island1996年にスウェーデンで設立された、社会人向けのデジタル・イノベーション・スクールです。

     開校以来、デジタルテクノロジーのもたらす変化を教育に取り入れ、過去29年間にわたり社会人向け教育プログラムの提供や、企業の戦略パートナーとしての活動をしてきました。

    2024年現在、世界で11の教育拠点を持ち、15,000名以上の卒業生を輩出しています。学校運営を行う一方で、コンサルティング事業も展開しており、約1,200社の企業に対しデジタル化推進の支援などを行っています。

     Hyper Islandで学んだ生徒たちは、GoogleMeta、マイクロソフト、IDEOSpotifyAirbnbなど世界の名だたるデジタル企業やスタートアップ企業で活躍し、採用先でも高度なスキルとコミュニケーション力を発揮して高い評価を得ています。こうしたデジタル人材を輩出することから「デジタル版ハーバード大学」と称されています。

    Hyper Island設立の経緯

    Hyper Island の創立者の一人であるジョナサン・ブリッグス氏は、もともと大学教授としてコンピューターサイエンスの指導にあたり、1990年初頭にはAI開発にも携わるなど、マルチメディアの先駆者として活躍していました。

     その後、ブリッグス氏はデジタルエージェンシーを起業しましたが、人材不足に悩まされることとなりました。彼は、エンジニア、デザイナー、ビジネスマンそれぞれが互いの分野を理解していない現状に強い不満を抱いていました。従来の教育が専門性の狭い人々を生み出す傾向にあることに問題意識を持ち、急速に変化する現代社会で課題解決には異なる視点を持つ人々のチームと情報に基づいた判断が必要だと感じていました。

     ブリッグス氏は次のように語っています。
    「私たちは、通信とテレビとコンピューターの世界が融合し、新たな産業が生まれてくる中で、『時代が必要とする新たなスキルを教える場を作れたら素晴らしいのではないか』そんな話をしたんです」

    創立当時のカールスクルーナ本社

    その後、ブリッグス氏は共同創業者とともにスウェーデンのカールスクルーナにある古い刑務所を購入し 、テクノロジー、デザイン、ビジネスのすべてが融合された教育プログラムを提供する Hyper Island を設立しました。そこから、Hyper Islandの歴史が始まったのです。

     「ハイパー」という言葉は古代ギリシャ語のὑπέρに由来し、「over/above」を意味し、デジタル化と非線形の世界を通じたナビゲーションを象徴しています。「アイランド」は、創業の地であるスウェーデンのカールスクルーナにある小さな島を指しています。

     

    Hyper Islandが目指す人材

    Hyper Islandが輩出した人材は15000人を超え、GoogleFacebook、マイクロソフト、IDEOSpotifyAirbnbなど世界の名だたるデジタル企業やスタートアップ企業で活躍しています。

    Hyper Islandは単なるグローバルな教育機関ではなく、在校生・卒業生・社外講師・パートナー企業のエキスパート達で形成される豊かなコミュニティ集団でもあります。

    Hyper Islandから広がるネットワークは非常に強固で、かつ刺激を与え合い、個人的な利益やビジネスのためだけでなく、世界全体にも有益なイノベーションやインパクトを生み出しています。

    現在のストックホルム本社(本校) 

    そんなHyper Islandが目指し、育成する人材とはどのような人材でしょうか。

    現代の不確実な時代を表す「VUCA」に代わる新しい概念として、「BANI」という言葉が提唱されています。VUCA1990年代にアメリカ軍によって使用され始め、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)を表しており、これまでの混沌とした状況を特徴づける言葉でした。しかし、BANIは現代のさらなる複雑さを反映した概念で、脆弱性(Brittle)、不安(Anxious)、非線形(Non-Linear)、不可解さ(Incomprehensible)という要素を含んでいます。

    予測困難な出来事がビジネスや日常生活に影響を与え、不安や混乱が生まれる状況を表しているこの概念は、技術の進化とともに変わりゆく現代社会において、未知の状況に対応する能力が求められることを示唆しています。

    つまり、特定のスキルセットだけでなく、より柔軟で適応力のある能力が求められるのです。これは、ハード・ソフトスキルではなく、状況に応じて学び、適応する力であり、「メタスキル」として表現されます。メタスキルとは、学び続ける力、変化に対応する力、自己を再創造する力など、今後ますます重要になる能力です。Hyper Islandでは、この「メタスキル」を持つ人材の育成を目指し、不確実性と変化の時代を乗り越えて成功できるよう支援しています。

    Hyper Islandが提供する学習体験

    Hyper Islandは、個人や組織が未来を形作るための学習体験を提供しており、これを「Hyper Island Way™」と呼んでいます。これは、次の2つから成り立ちます。

    Doing~実行すること~

    Hyper Island Way™は、実行(Doing)に重点を置いています。変化は困難でありながら常に起こるため、継続的に学び続けることが重要です。この学びは、創造、テスト、構築を通じて行われますが、その根底には「Learning by doing」という概念があります。

    Learning by doing」は、実際に手を動かしながら学ぶことを意味し、Hyper Islandではこのアプローチを通じて学習体験が設計されています。単なる知識の習得ではなく、実際に手を動かし、失敗しながら学び、そこからフィードバックを得て改善していくプロセスを大切にしています。このように、好奇心と大胆さを持ち、現状に疑問を抱き、挑戦し続ける姿勢が求められます。

     このプロセスを通じて、Hyper Islandは積極的に挑戦に向き合う人材を育てます。挑戦に取り組む意志があれば、学びの過程で成長し、次世代のリーダーとしての自信が生まれるのです。

    Being~在り方~

    また、Hyper Island Way™は、存在の在り方(Being)も意味します。つまり、変化は自分自身から始まることを理解することが重要です。自分の価値観、信念、目的は、変化を乗り越えるための重要な要素です。変化に対処するためには、まず自分自身をリードする能力が必要であり、他者をリードするには、まず自分自身を深く理解する必要があります。また、テクノロジーがもたらす増大する混乱に対処するためには、多様な視点を受け入れる姿勢が求められます。

     

    Hyper Islandの理念

    Hyper Island のプログラムは、個⼈の努⼒ではなく、チームでの共同作業に焦点を当てています。そして、「何をするのか?」よりも「なぜそうするのか?」に焦点を当て、参加者が個⼈的にもビジネス的にも成⻑できるように設計されています。ここでは、Hyper Islandの理念についてご紹介します。

    LEARN FOR LIFE

    私たちは、オピニオンリーダーや専門家と協力してイノベーションが破壊をもたらす世界での業界ニーズを予測しています。完全に未来を予測することはできないかもしれませんが、その時に備えて個人や企業をサポートすることはできます。

    REAL-WORLD READY

    私たちは、市場調査と業界パートナーの積極的な関与を通じて、業界のトレンドと変革的テクノロジーに関する新たな洞察を基に、人々が複雑な社会的ニーズとビジネスニーズを予測できるように準備します。

    LEAD THE CHANGE

    私たちは、変革をもたらすテクノロジーの大きな潮流に対して肯定的です。
    未来のリーダーとは、変化を受け入れ新しいパラダイムに適応し行動によってリードする人たちであり、このような新しいリーダーを鼓舞しサポートすることを目指しています。

    SEIZE YOUR POTENTIAL

    私たちは、意欲的な目標設定に挑戦することによって積極性を促し、自分の可能性を実現する力を与えています。

    TEAM IS EVERYTHING

    コラボレーション・インクルージョン・透明性は成長に欠かせません。
    継続的なフィードバックと深い内省を通じてより深い自己認識を得ることで、効果的なチームメンバーやリーダーへと変化していきます。

    CHANGE THE WORLD

    挑戦なくして成功なし。生涯学習への情熱に火をつけることで共に世界を変えることができます。

    Hyper Islandの文化

    またHyper Islandには、使命を果たし、ビジョンを実現するためのいくつかの文化があります。

    OPENNESS

    信頼とオープン性は建設的な仕事の基盤となります。これにより、グループのメンバーが互いに直接かつ明確に話し合うことができます。

    FEEDBACK

    効果的なフィードバックは、良好な職場関係を築くために不可欠です。フィードバックは、対人関係に基づいた、明確で直接的なものであり、パフォーマンスに重点が置かれます。

    REFLECTION

    内省的な実践は、私たちの学習および作業方法論の一部です。過去の経験を振り返ることで、個人およびグループの学習を最大限に高め、その学習を将来のタスクに活かします。

    CONSTRUCTION

    物を構築し、概念化し、アイデアを提案し、それらのアイデアに異議を唱え、それに基づいて構築することが、私たちの構成主義の教育法と実践の中心です。

    PARTICIPATION

    私たちは皆チームの一員であり、あらゆるレベルのチームに積極的に参加することで、集団的知性を活用できます。私たちは行動、注意深い傾聴、率直な質問を通じて参加します。私たちは、より効果的に協力する方法を理解するために、グループダイナミック理論を活用します。

    TRANSFORMATION

    私たちは教育とビジネスにおける変革を促進する存在です。私たちは、最新のテクノロジーと組織慣行を活用して、現在の考え方を覆します。根本的に、問題に対する答えは 1つではないと考えています。そのため、混沌と複雑さを受け入れて斬新な解決策を見つけ、別の視点を推進します。

    PASSION

    私たちは人々と組織に力を与えることに情熱を注いでいます。私たちはデザインとファシリテーションを通じてこの情熱を体現し、私たちの学生は仕事を通じてその情熱を示します。

    Hyper Island Japan設立の経緯

    20248月現在、Hyper Islandは、ストックホルムを拠点に、カールスクルーナ、シンガポール、ロンドン、マンチェスター、ニューヨーク、サンパウロ、チューリッヒ、マニラなど、世界各国に11の拠点をもち、「デジタルのハーバード大学」とも称されています。

    その中の一つが、日本です。

    Hyper Island Japanが設立されたのは、2020頃のことです。

    Hyper Island のカリキュラムを日本で展開するテイ・デイ・エスは、東京に本社を持つ1979年創業のデザインファームです。 “ Strategic design and Creative logic ” を掲げ、クリエイティビティあふれる論理と、戦略に基づいたデザインによって、人、モノ、社会の間にあるコミュニケーション課題を解決に導いています。

     テイ・デイ・エスが新規事業立ち上げのため、海外のデザインファームの視察をしていたことが、協業のきっかけとなります。世界各国、50以上のデザインファームを訪問する中で、Hyper Island との衝撃的な出会いがありました。その後、当時グラフィックデザイナーやアートディレクターとして活躍していた、現ラーニングデザイナーの森杏奈が Hyper Island でのデジタルマネジメント修士学位に挑戦することになります。

     毎月シンガポールへ通いながら課題をこなし、論文を書き、そして日本での仕事も行うハードな日々。

    森はこう語っています。

     「私が非常に感銘を受けたのは、ファシリテーターに答えを尋ねても正解が返ってこないことです。なぜなら正解はひとつではなく、あらゆる検証を行い“自分で”正解を決めるべきだから。日本の教育では用意された正解を当てにいきますが、そうではなく、自分が正しいと思う正解を決めなさい、と言われるんです」

     そして森は「これは絶対日本に持ち帰るべき」と確信。その後 Hyper Island とテイ・デイ・エスにおいてパートナーシップが締結されたのです。

     202011月に誰でも受講可能なオープンコースを開講。以来、様々な企業様にHyper Island のプログラムを導入いただき、大変好評をいただいています。

    Hyper Islandで学ぶには?

    Hyper Islandの本校(ストックホルム)では、デジタルマネジメント(Digital Management)とデジタルエクスペリエンスデザイン(Digital Experience Design)の修士号を取得できます。デジタルマネジメント修士課程は、フルタイムとパートタイム(オンライン)のいずれかを選ぶことができ、パートタイムの場合は、2週間のみストックホルムでの授業に参加すれば、日本に居ながら修士号を取得することが可能です。

    ・修士課程

    https://hyperisland.com/en/programs/master-degree

     その他にも、AIビジネスコンサルタント、デジタルクリエイティブなどの卒業証書を取得できるディプロマプログラム、UXデザイン、ビジネス開発などのスキルアップコースが用意されています。

    ・ディプロマプログラム

    https://hyperisland.com/en/programs/diploma-programs

     ・スキルアップコース

    https://hyperisland.com/en/programs/upskill-courses

     

     シンガポール校においても、短期でオンライン受講できる様々なプログラムが提供されています。

    https://hyperisland.asia/collections/professional-courses

    https://hyperisland.asia/collections/data-analytics-and-technology

    https://hyperisland.asia/collections/advance-course

     

     ストックホルム、シンガポールのコースはすべて英語での提供となります。英語に不安がある場合は、Hyper Island Japanが提供する日本語で受講できるコースをお勧めします。

     Hyper Island Japanが提供しているコースは以下の通りです。

     

    アクションラーニングプログラム

    「アクション・ラーニング」とは参加者がチームを組んで、組織における現実の課題に対する解決策を考え、実行していくことで、個人・組織の学習する力を向上させる学習法です。

    Hyper Island Japan のアクションラーニングプログラムはテーマ別の5つのコースで構成されており、それぞれ4日間(18:0021:00)のリモート参加型(オンライン)で、1コースからの受講が可能です。

     

    アジャイルシンキング

    顧客に共感し、インサイトに根ざした創造的なアイデアを生み出し、高速プロトタイピングとイテレーションによって製品・サービス・戦略の開発方法を変革する実践的な学びを得ることができます。

    https://www.tds-g.co.jp/hij/action_learning/agile_thinking.html

     

    デジタルトランスフォーメーション

    デジタルトランスフォーメーションの複雑に絡み合った様々な側面を紐解き、クライアントのチャレンジを理解し探求するためのレンズとツールを身につけて学習効果を高めます。

    https://www.tds-g.co.jp/hij/action_learning/digital_transformation.html

     

    デジタルマーケティング

    デジタルファーストの企業がどのようにデータや成長戦術(グロースハック)を駆使して
    新しい市場を開拓し成功しているかを理解し、現業で応用できるようになることを目指します。

    https://www.tds-g.co.jp/hij/action_learning/digital_marketing.html


    フューチャーシナリオ

    シナリオ・プランニングの手法を知り、変化の速い業界におけるビジネスやデジタル、人的課題に対応するため、変化領域を深く観察し、戦略的予測や提言を行うためのツールやテクニック、手法を学びます。

    https://www.tds-g.co.jp/hij/action_learning/future_scenarios.html


    リーダーシップ&チーム

    チームの特徴を発見し、変化を通してチームを推進するための効果的なリーダーシップ行動を学びます。また、適応型リーダーとして、自分自身のリーダーシップ・スタイルについても学びます。

    https://www.tds-g.co.jp/hij/action_learning/leadership_and_teams.html

     

    リパーパスプログラム

    役職定年やポストオフを迎える50歳以降のビジネスパーソン(サードエイジ世代)へ向け た、全7回(13時間)、オンライン開催のプログラムです。世の中の成長速度が著しく早く進んでいる中で、サードエイジ世代が変化と不確実性に対処し、テクノロジーを最大限に活用して社会や企業に貢献するためのマインドセットを構築します。 

    https://www.tds-g.co.jp/hij/3age/

     

    企業向けプログラム

    Hyper Islandでは、長年にわたるリモート学習プログラムファシリテーションの知見と経験によって業界変革をリードする学習者の成長を支援しています。

    企業向けプログラムは、企業の持つ課題に基づいてオーダーメード設計されます。
    リモートや対面など、ニーズにあわせた最も効果的な受講スタイルで実施することが可能でプログラムの深度も数時間から数ヶ月単位まで、目的と成果にあわせて幅広く柔軟な設計を行います。

    https://www.tds-g.co.jp/hij/business_program/

    最後に

    以上のようにHyper Islandは、不確実で予測できない現代において、安全でサポートに満ちた学習環境を提供し、メタスキルを身に着け、未知の世界に挑む力を育む場所です。

    Hyper Island APACのプログラム責任者であるPaviter氏は、このように語っています。

     『もしも、未来のことを学びたい、必要を感じているならばぜひHyper Islandに入っていただければと思います。学習と仕事というのは切り離されているものではなく、それらが共存している形で提供しています。私たちの究極のゴールは、生涯学習者を作っていくことです。未知の世界を生き延びていくための学習を提供していきたいと思っています。もしくは興味ではなく、恐れを抱いている人も、ぜひHyper Islandに来ていただければ、私たちがサポートできるのではないかと思います。』

     Hyper Island、およびHyper Island Japanにご興味のある方は、お気軽にお問合せください。

    Hyper Island Japanチーム

    北欧発のビジネススクール「Hyper Island」の日本チームです。
    Hyper Islandのメソッドや思想をもとに、企業や個人の学びにつながる情報を発信しています。