

ストーリーボードとは?デザイン会社が教える!UXデザインにおけるストーリーボード活用術
ストーリーボードとは?UXデザインにおける重要性
ストーリーボードとは
ストーリーボードとは、サービスや製品を使用するユーザーの体験(ストーリー)を、時系列に沿ってイラストなどを用いて視覚的に表現したものです。映画やアニメの制作現場で用いられる絵コンテと同様の手法で、近年はUXデザインの分野でも活用されています。ユーザーの体験の流れを4〜6コマでビジュアル化し、開発中のサービスや製品がユーザーの課題や感情、行動にどのような影響を与えるのかの理解に役立てます。
UXデザインにストーリーボードを活用するメリット
共通認識を持ちやすくなる
抽象的なコンセプトやアイデアを時系列に沿って視覚的に描くことで、サービスや製品の利用前後のシーンを表現できます。また、わかりやすく視覚的な資料を共有することで、開発メンバー間での認識のズレを防ぐことに役立ちます。
ユーザー視点の理解が深まる
ユーザーの視点で、どのようにサービスや製品と関わるのかを「ストーリー」として描くことで、解決したいユーザーの「課題」だけでなく「感情や行動」への理解も深まり、サービスや製品のコンセプトやアイデア、機能、デザインなどに関する検討や反映がしやすくなります。
コミュニケーションを円滑にする
開発メンバーとのコミュニケーションだけでなく、各ステークホルダーとのコミュニケーションにも活用できます。例えば「事前に市場調査を行う際の調査対象への説明ツール」や「経営者、マーケターやセールスなどの関係者への概要説明ツール」として端的にプロダクトの概要やポイント理解を促すのに有効です。
ストーリーボードの作成方法
ストーリーボードの作成に必要な情報
ストーリーボードを作成するためには、以下の情報が必要です。
ペルソナ | サービスや製品を利用するターゲットユーザーについて、その特徴や行動パターンなどから人物像を作成します。 |
シナリオ | ペルソナがサービスや製品を利用する具体的な状況や目的を設定し、一連のユーザー体験をシナリオ化します。 |
ストーリーボードの作成プロセス
ユーザーの課題を定義する
ユーザー(設定したペルソナ)が直面している課題や、ユーザーのニーズを整理します。
開発しようとしているサービスや製品が解決しようとしている課題やニーズをユーザー視点で洗い出します。
▼課題を解決できた体験の結果を想像する
開発しようとしているサービスや製品によってユーザーの課題が解決された結果を考えます。
課題が解決されたユーザーの状態や感情を具体的に想像してみましょう。
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具体的な解決策を考える
サービスや製品が課題を解決する結果を想像したら、そこに辿りつくまでの解決方法を考えます。
ユーザーがサービスや製品を利用する一連の流れを文章化して、その中で起きる重要なできごとを特定しましょう。
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ストーリーボードに描き起こす
課題解決までのユーザー体験をシナリオ化できたら、重要なできごとを軸にしてシーンを分割します。
各シーンの情景やユーザーの「行動や感情の変化」を描き起こし、各シーンを説明するナレーションをつけたらストーリーボードの完成です。
ビジュアル表現のポイント
ストーリーボードは、一連のユーザー体験を「ビジュアル」を用いて直感的に伝えるためのツールです。ビジュアル表現を工夫することで、シナリオを理解しやすくなり、より良いUXデザインの議論が期待できます。効果的なストーリーボードを作成するためのビジュアル表現におけるポイントには、次のようなものがあげられます。
シンプルなイラストで表現する
イラストのクオリティよりも、見る人に内容が伝わることが大切です。高度なイラストのスキルは不要です。商用利用可能なイラスト素材や、棒人間やアイコンのような簡単なイラストを使用した作成で問題ありません。ユーザーの感情を「表情」や「動き」でビジュアル化して伝えましょう。
時系列を意識する
ストーリーボードで表現するユーザー体験のストーリーは「時系列の流れ」を意識して配置しましょう。ユーザーがサービスや製品との関わりを通して「感情がどのように変化していくのか」がわかるように表現します。
環境や画面を適切に表現する
ユーザーがどこで何を使用しているのか「ユーザーの環境」が伝わるように表現しましょう。利用シーンの背景や周辺にあるものを描くと状況が伝わりやすくなります。また、ユーザーが利用するデバイスのUIが「ストーリーの重要な要素」であれば、簡単にでも描き起こしておくことで、サービスや製品の利用シーンを具体的にイメージしやすくなります。
ユーザーのセリフや考えを入れる
吹き出しなどを使い、ユーザーがサービスや製品を利用しているときに、何を考え、どう感じているかの視覚化を意識して表現しましょう。ユーザー視点でのセリフを入れることで、UXにおける課題や改善点が見えやすくなります。
ストーリーボード作成に必要なツール
ストーリーボードはビジュアルとテキストで表現されるため、デジタルや紙を問わず作成が可能です。作成に関わるメンバーの環境や作業シーンなどでツールを使い分けます。
デジタルツール | PowerPoint、Googleスライド、Figma、Miroなどのオンラインで共同編集が可能なツールを利用すると、アイデアやフィードバックなどを反映や修正がしやすく、メンバー間の作業効率が向上します。 |
紙とペン | 紙とペンを使った手書きのスケッチは、アイデアを素早く可視化できます。オフラインのミーティングや初期のブレインストーミングなどの際に有効です。 |
<テンプレート>
ストーリーボードは4〜6コマのフレームを利用して作成するのが一般的です。ストーリーボードの枠組みは複雑なつくりではありませんが、テンプレートを活用するとすぐに作成ができて便利です。以下にてPowerPoint用のテンプレートを配布しますので、ぜひご活用ください。(個人情報なしでダウンロードできます)
ストーリーボードの実践的な活用例
UXデザインプロジェクトへの応用
ストーリーボードは、UXデザインのプロジェクトにおいて、アイデアの可視化やユーザー理解などに役立ちます。プロジェクトにおけるストーリーボードの活用場面としては以下のような例が挙げられます。
❶ユーザージャーニーの整理やアイデア創出
・サービスや製品によるユーザーの課題・感情・行動の変化を可視化する
・課題発生のポイントやユーザーのペインポイントを発見する
・ユーザージャーニーに基づくコンセプトやアイデアの検討やブラッシュアップをする
・異なるペルソナの体験を比較・分析し、効果的なユーザー体験を検討する
❷リサーチやプロトタイピングによる検証
・想定するユーザーやペインポイントの仮説の検証に利用する
・ユーザーテストなどでサービスや製品の「実現性」や「受容性」を検証をする
・競合プロダクトのユーザージャーニーを作成し比較する
❸ステークホルダーとの共有
・抽象的なアイデアをビジュアルストーリーにすることでわかりやすく説明する
・経営層への提案資料に活用し、意思決定をサポートする
・マーケティングや営業チームと共有し、適切な訴求ポイントを整理する
テイ・デイ・エスでの活用事例
ストーリーボードを利用した事例を紹介します。前のセクションのストーリーボードの活用例 ❷に含まれるサービスの「実現性」や「受容性」の検証に該当します。
<デザイン要求定義支援サービス検討時の受容性調査>
以下は、テイ・デイ・エスがクライアント企業に代わってデザインに関する要求事項の整理や定義を行う「デザイン発注者向けRFP代行作成サービス」を検討した際のものです。
ターゲット層が集まる展示会で、来場者に「ストーリーボード」を使ってサービスの概要説明をしたあと、アンケートに回答いただく流れで受容性の調査を行いました。
ストーリーボードを活用することで、スムーズに検討中のサービス概要について理解をしていただきました。また、ストーリーボードを見ながら「ご質問」や「ご意見」をいただくことで、ユーザー理解も深まり、サービスの検討やブラッシュアップに活かすことができました。
まとめ
ストーリーボードは、UXデザインにおいてとても有効なツールです。サービスや製品に関わるユーザーの行動や感情を時系列で視覚的に整理することで、解決したい課題の明確化、開発チーム内の理解促進や共通認識作りに役立ち、ユーザー体験向上に向けた検討を進めやすくなります。
ぜひストーリーボードを積極的に活用して、より良いユーザー体験の実現を目指してみてください。
テイ・デイ・エスでは、ユーザー視点に立ったサービスや製品のUX/UI デザインのご支援を行っています。相談・壁打ちなど、気軽にご相談ください。詳しい情報は下記資料をご確認ください。
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