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ボアアウトとは?バーンアウトより危険な理由や原因、対策について解説

2023.04.28 更新

#Hyper Island#マインドセット#チームカルチャー

「ボアアウト」という言葉をご存知でしょうか。ボアアウトは、従業員にとって職場が退屈であり続けることで引き起こされます。従業員がボアアウトに陥りやすい企業は、従業員のモチベーションが低下し離職率も高くなる傾向があります。反対に優良な企業では、多くの従業員が「職場が楽しい」と表現しています。従業員の離職率を下げ、組織としての生産性を高めるためにも、企業はボアアウトを引き起こさないよう対策することが必要です。

この記事ではボアアウトについての概要やその危険性、原因について解説しています。その上で、どのようにすればボアアウトを対策できるかについてもご紹介いたしますので、参考にしていただければ幸いです。

目次

    ボアアウトとは?

    「ボアアウト(bore out)」とは職場で退屈な状態が続き、ストレスが蓄積することで気力や自己評価の低下、うつや不眠にまで至ることです。単調な仕事や過小な仕事しか任せられないなど、仕事にやりがいや刺激を感じられない状態が続くことでボアアウトが引き起こされます。

    ボアアウトと似た言葉である「バーンアウト」については知っている方も多いのではないでしょうか。バーンアウトとは仕事に没頭していた従業員の心労が極限に達し、燃え尽きたようにやる気を失い社会に適応できなくなることです。「燃え尽き症候群」とも言われるバーンアウトに対し、ボアアウトは「退屈症候群」とも呼ばれています。

    ボアアウトという言葉は、スイスのビジネスコンサルタントであるPeter WerderとPhilippe Rothlinにより、2007年に生み出されました。そしてボアアウトが世界的に広く知られるきっかけになったのが、フランスの香水メーカーが従業員に約40,000ユーロの賠償を命じられた裁判です。パリ高等裁判所は、従業員に対し単調な仕事しか与え続けなかったことによるボアアウトが「モラルハラスメントに値する」と判断しました。

    ボアアウトは「バーンアウト(燃え尽き症候群)」より危険!?

    アメリカの経済誌「Forbes」は、「職場での退屈は燃え尽き症候群より危険である(※1)」と述べています。その根拠としてあげられるのは、GallupとKorn Ferryというアメリカのコンサルティング会社が公開した調査報告です。

    ※1:「Why Boredom At Work Is More Dangerous Than Burnout

    Gallupはアメリカの労働者が退屈することによるコストは、年間4,500~5,500億ドルに及ぶと述べています。これは離職による損失(従業員1人あたり15,000ドル)だけでなく、代わりの人材が戦力として成長するまでのコストなども含んだ金額です。
    またKorn Ferryの調査によれば、現在仕事を辞めようとしている従業員の33%が、その主な理由として退屈をあげています。「会社と自分の価値観が合わない」が24%で続き、よりよい給与を求めて退職しようとする従業員は19%にとどまりました。(※2)

    ※2:https://www.forbes.com/sites/curtsteinhorst/2020/01/28/why-your-workforce-is-bored-out-of-their-minds

    ボアアウトを引き起こす原因

    バーンアウト・ボアアウトいずれについても、原因となるのは仕事です。バーンアウトは、仕事量が多過ぎることが原因となります。それでは、ボアアウトはどのような仕事が原因となるのでしょうか。以下、ボアアウトを引き起こす主な原因の例をみていきましょう。

    コロナ禍によるリモートワーク

    コロナ禍において、手掛けていたプロジェクトやイベントが中止となったり、リモートワークに移行した方も多かったのではないでしょうか。
    リモートワークであれば通勤時間が削られ仕事そのものに集中しやすい、プライベートの時間を作りやすいというメリットがあります。その反面、同僚や上司とのコミュニケーションが希薄となり、仕事の熱量を感じにくくなる傾向があることは否めません。そのままリモートワークを継続している方も多いかと思いますが、仕事が単調になりやすく、刺激が少ない分、比較的ボアアウトを引き起こしやすい環境と言えます。

    やりがいのあるタスクの欠如

    やりがいを感じられるタスクが割り当てられることもなく、仕事に刺激を得られないことがボアアウトの原因になります。自分にとって簡単過ぎたり、単調だったりする仕事ばかり任せられていれば、刺激がなく退屈な状況が続くのは言うまでもありません。

    従業員は挑戦し甲斐のあるタスクによって新しいスキルを習得し、自分自身が成長することを求めています。従業員はそういったタスクに対し価値を感じ、価値のあるタスクを割り振ってくれた会社に対し帰属意識を感じるようにもなるのです。

    ボアアウトを乗り越えるため、従業員個人ができること

    ボアアウトを乗り越えるためには、何より仕事を「楽しむ」ことが有効です。「素晴らしい」と評価された企業では、従業員のなんと81%が職場環境を「楽しい」という言葉で表現しました。(※3)

    ※3:https://hbr.org/2022/05/why-work-should-be-fun

    それでは、どのようにすれば仕事を今より楽しむことができるでしょうか。ここでは従業員が自分の仕事を今より楽しむために、実践できる効果的な方法の例を紹介します。

    タスクをゲーム化する

    自分に任されたタスクを、より達成しやすいように小さなタスクに分割して対応します。そうして分割したタスクのそれぞれに目標の期限を設定し、目標達成のためタスクに集中するのです。目標を達成できた場合は、大好きな趣味の時間をたっぷり確保するなど、自分自身に「ご褒美」を用意します。このように各タスクをゲームのように演出することで、仕事を楽しみやすくすることができます。

    小さな変化を作る

    仕事にちょっとした小さな変化を作るのも、楽しむには有効です。たとえば今日終わらせるべきToDoリストの名前を「楽しいことリスト」に変えるだけで、「今日はこれだけ楽しめるのか」と感じやすくなります。またイヤホンで音楽を聴くようにするのも、仕事を楽しむには効果的です。音楽からエネルギーをもらえたり、気分がハッピーになったりします。仕事をする場所を変えてみるのもよいでしょう。おしゃれなカフェや静かな公園など、物理的に場所を変えるだけで、新鮮な気持ちで仕事に取り組めます。

    新しい挑戦をする

    スキルの習得を目指したりフィットネスに通い始めたりなど、新しいことに挑戦することでよい気分転換になります。その結果、仕事のモチベーションが回復したり、生産性が向上したりもするのです。

    必ずしも、仕事と直接的に関係がある事柄に挑戦する必要はありません。ボランティアをしたり、ギターの弾き方を学んでみたりといったことでも、興味があるなら挑戦する価値はあります。インターネットなどで調べてみれば、自分の挑戦したいことを見つけられるでしょう。

    ボアアウトを引き起こさないために企業ができること

    従業員がボアアウトの状態に陥ることは、企業にとっても大きな痛手になるでしょう。生産性が落ちるのはもちろんのこと、最悪の場合は大事な人材を失ってしまうケースも考えられます。

    それでは従業員のボアアウトを起こさないようにするため、企業にはどのようなことができるでしょうか。以下、特に有効な対応の例をみていきましょう。

    指導役や教育係の配置

    厚労省がまとめた資料(※4)によれば、エンゲージメントの高い企業ほど、指導役や教育係の配置(メンター制度)を実施しているとのことです。従業員からみれば、自分が今どんな状態でどのようなことを感じているかを指導役などに話すことでストレスの発散になります。また指導役や教育係と一緒に、現状の打開策を考えることも可能です。

    従業員に「何を期待しているか」を明確化する

    従業員は会社が自分に何を期待しているのか、自分の仕事が会社にとってどのような役割を担っているか知る必要があります。これらが従業員にとって明確になることで、従業員自身のモチベーションにもつながるのです。

    その他キャリアコンサルティングなどによって、従業員の将来に関する展望を明確化することもボアアウトを避けるのに役立ちます。厚労省の資料(※4)によると、キャリアコンサルティングなどの実施率が高い企業の方が、エンゲージメントも高いとのことです。

    キャリアコンサルティングにより、従業員のキャリアを明確にすることで、従業員のモチベーションを高められます。

    従業員の想像力や革新性を奨励する環境を作る

    従業員の創造性と革新性を奨励する環境を構築することも、ボアアウトを避けるためには重要です。人は本来、想像力や好奇心が旺盛なので、新しいアイデアを探求することを許されたときに最も成長します。従業員の好奇心に応えることで、ボアアウトも予防できるのです。

    従業員の成長を支援する

    従業員は、「成長したい」と望んでいます。従業員のそんな欲求を企業が理解し、それを支援することでエンゲージメントも高められるでしょう。実際に厚労省の資料(※4)によれば、従業員の自己啓発に取り組む企業の方が、エンゲージメントが高いという結果が出ています。

    ※4:『「働きがい」をもって働ける環境の実現に向けた課題について)』

    仕事を通じた楽しい学習体験の創出

    従業員が「楽しい」と感じられる学習体験の機会を創出することで、従業員の想像力を刺激し仕事に対するモチベーションも高められます。たとえば日常的に行っている会議も、工夫次第で従業員が楽しめる学習の要素を追加することも可能です。

    ただし従業員に「楽しむ」ことを強要することは、従業員のモチベーションを下げ、かえって逆効果になるので注意しなくてはなりません。従業員の好みや自主性を尊重しながら楽しむことを重視する職場環境を構築する必要があります。そのためには、さまざまな関心に対応するさまざまなアクティビティを提供し、参加を任意にし、従業員が自分らしくいることを快適に感じる文化を作り出すことで達成できます。

    Hyper Island TOOL BOXには様々なアクティビティをまとめていますので、ぜひ活用してください。

    https://hij-toolbox.tds-g.biz/

    まとめ

    ボアアウトは単調で簡単な仕事ばかり任せられるなどして、従業員が職場を「退屈」と感じることで引き起こされます。ボアアウトの状態が続くと、従業員は気力を失いうつや不眠の状態に至ることさえあるのです。その結果、自社にとって大切な従業員が離職してしまう可能性も少なくありません。

    ボアアウトは仕事にやりがいや刺激を感じられなくなることが原因です。企業は従業員がボアアウトの状態に陥らないように、成長を支援する機会を作る、仕事を「楽しめる」工夫を怠らないようにする必要があります。

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    ※この記事はTDSブログへ統合する以前のddpostの記事です。

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