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ビジネストランスフォーメーション(BX)とは?意味やDXとの関係、事例を解説

2022.12.16 更新

#Hyper Island#DX

ビジネスを取り巻く環境の急激な変化に対応するため、多くの企業が取り組んでいるのがビジネストランスフォーメーション(BX)です。デジタル社会の実現を目指すデジタル改革関連法が2021年に成立したことも、その追い風となっています。今後、企業が成長を続けるためにも、ビジネストランスフォーメーションの実践が求められるのです。

この記事ではビジネストランスフォーメーションとは何かや、類似するデジタルトランスフォーメーション(DX)との関係について解説します。その上で、ビジネストランスフォーメーションの好例を紹介するので是非参考にして下さい。

目次

    ビジネストランスフォーメーション(BX)とは?

    ビジネストランスフォーメーションとは、ビジネスモデルの創出やビジネスプラットフォームの変革によりビジネスに改革をもたらすことです。ビジネストランスフォーメーションは英語で「Business(ビジネス) transformation(変容)」と書きます。より具体的には、ビジネストランスフォーメーションは以下にあげる2つに分類することができます。

    ・ビジネスプラットフォームの変革
    ・ビジネスモデルの創出や変革

    この2つは車の両輪のような関連性をもち、同時に進めることが必要とされます。では、それぞれの概要についてみていきましょう。

    ビジネスプラットフォームの変革

    ビジネスプラットフォームとは、ビジネスを行う上で必要となる土台・環境となるものの総称です。具体的には組織や制度、各種IT基盤を指します。ビジネストランスフォーメーションでは、これらビジネスプラットフォームの変革が求められるのです。

    ビジネスモデルの創出・変革

    ビジネスモデルとは端的に言えば、事業で利益をあげたり企業価値を高めたりするための仕組みです。ビジネスを取り巻く環境の変化が激しい現代において、企業が戦略目標を達成するためには、ビジネスモデルの創出や変革が求められます。

    その上で、環境変化に対応するためには、オペレーションモデルの再構築も必要です。実際、適切にオペレーションが行われていないために、組織や人材のポテンシャルを活かせていないケースが少なくありません。

    なお、この記事におけるビジネストランスフォーメーションは、主にこちらの意味を指して解説していきます。

    ビジネストランスフォーメーション(BX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)の関係

    ビジネスにおいてデジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を駆使しビジネスモデルそのものを変革することを指します。

    「デジタル技術の駆使」といっても、ITシステムを導入して業務を効率化しただけでは、デジタルトランスフォーメーションとは言えません。より根本的に企業のビジネスモデル変革や企業価値の向上を実現し、その結果として社会生活や経済活動の革新まで目指す概念なのです。

    つまりデジタルトランスフォーメーションを推進する過程で、ビジネストランスフォーメーション(ビジネスモデルの変革)が求められます。

    【関連記事】デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?初心者向けにわかりやすく解説

    DXによって、どのようにビジネスモデルが変革されるか

    それではデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むなかで、どのようにビジネスモデルが変革されるのでしょうか。

    従来のビジネスでは、モノを作ったり売ったりサービスを提供したりすることで利益を上げていました。この構造自体は、DXが進んだとしても変わるわけではありません。

    ただしDXにより、これらの取引を支援し活発化させるのに役立つビジネスが増えると考えられます。DXが進むことで、ビジネスの背景にある社会や経済の構造も大きく変化すると考えられるためです。具体的には、取引の効率化(非効率の解消)や取引を行う場所・機会の提供などが挙げられます。ビジネストランスフォーメーション(BX)により、この社会的な変化に応じたビジネスモデルの変革が進んでいくことでしょう。

    ビジネストランスフォーメーションの事例

    多くの企業が、ビジネストランスフォーメーションに取り組んでいます。ここでは、その中でも参考になる事例をみていきましょう。

    e-Pallete(トヨタ自動車株式会社)

    トヨタがすすめる「e-Pallete」とは、移動や物流など様々なシーンで活用されるモビリティプラットフォームサービスです。e-Palleteでは、自動運転車を「必要なときに必要なだけ」ユーザーに配車することを目指します。
     
    従来の「自動車を作って売る」ビジネスモデルから、「移動という行為そのものを提供する」ビジネスモデルへ変革をはかっているのです。2020年の東京オリンピックでe-Palleteの自動運転車が巡回バスとして運行するなど、実用化に向けた取り組みが進められています。

    助太刀(株式会社助太刀)

    株式会社助太刀では、職人と工事会社を結び付けるマッチングアプリを提供しています。

    大工や塗装工といった職人の多くは個人事業主で、新しい取引先と契約する手段はこれまで同業者からの紹介しかない状態でした。助太刀が提供するマッチングアプリは、この状況を変えることを目的としているわけです。

    助太刀では、職種と地域によって適切な仕事を検索することができます。アプリは本名の登録を必須とすることで信頼性を担保しました。また月額使用料を得る代わりにマッチング手数料を無料とすることで、アプリ利用を促進することに成功したのです。

    その他、本アプリの利用には以下のようなメリットもあります。
    ・立替払いのシステムがあり、職人は工事費用を速やかに受け取れる
    ・一人親方労災保険に無料で加入が可能
    ・工具のレンタルや修理にも対応

    株式会社助太刀が提供する本アプリは、建設業界のDXを推進し、業界全体の生産性向上に貢献しているのです。

    DIFFERENCE(株式会社コナカ)

    DIFFERENCEは、株式会社コナカが立ち上げたカスタムオーダー専門のスーツブランドです。
     
    DIFFERENCEはカスタムオーダーであるため、在庫管理が不要である上に売れ残った品を処分する手間やリスクもありません。またDIFFERENCEはCADやCAMを使うことにより、これまで職人が行っていた裁断・縫製の工程をデジタル化し、コスト削減に成功しました。
     
    これによりユーザーは、従来に比べリーズナブルにカスタムオーダーのスーツを購入できるようになりました。身体の採寸が可能な専用のAIアプリを利用できるため、店まで足を運ぶ必要もありません。自宅にいながらにして、カスタムオーダースーツの購入が可能となったのです。
     
    DIFFERENCEは既製品を大量に生産し在庫を抱えるという、これまでのアパレル販売のスタンダードを覆すビジネスモデルと言えます。アパレル業界における、ビジネストランスフォーメーションの好例です。

    airCloset(株式会社エアークローゼット)

    「airCloset」は日本のファッションにおける、サブスクリプションの草分け的なサービスです。2014年に創業してから、2022年2月には会員数が70万人を超えました。
     
    airClosetの特徴は、プロのスタイリストが洋服を選んでくれることです。ユーザーが服のサイズや自分の写真、好みなどを登録すると、それに合わせてスタイリストが選んだ洋服が送られてきます。
     
    ユーザーが洋服を選ぶわけではないので、airCloset側は必要以上にたくさんの種類の在庫を抱える必要がありません。一方ユーザーは、自分で選ぶ手間をかけることなく、プロが選んだ新しい洋服に出合えるというメリットがあります。洋服の大量廃棄が問題となっているアパレル業界にとっては、顧客の要望を満たしつつこの問題を解決する画期的なビジネスモデルといえるでしょう。

    タイムズカー(パーク24株式会社)

    タイムズカーは、国内最大の駐車場運営会社「パーク24株式会社」によるカーシェアリングサービスです。2021年12月の段階で、保有するカーシェア用の車両数は2.7万(国内市場全体では3.5万)と業界最大手となっています。
     
    タイムズカーは自社所有の既存駐車場を転用することにより、初期投資を抑制しながら配車台数の柔軟な変更や稼働の最適化を実現しました。独自の「強み」を活かすことで、タイムズカーはカーシェアリングの分野では後発でありながら、業界一のシェアを誇るまでに成長したのです。
     
    また同社ではユーザー自身で給油をしたりすることでポイントを付与するシステムを構築し、運用の負担を軽減することにも成功しました。本システムは、IoTデバイスやGPSなどのデジタル技術を活用しています。デジタル技術によって人の介在を減らし、効率化を実現した好例といえるでしょう。

    Luup(株式会社Luup)

    Luupは「街じゅうを駅前化する」ことを目指す、電動モビリティのシェアリングサービスです。Luupを使うと、電動アシスト自転車や電動キックボードといったマイクロモビリティをレンタルし、任意の場所に乗り捨てることができます。
     
    自転車を貸し出す「レンタサイクル」事業は、従来から存在しました。レンタサイクルに比べLuupが画期的なのは、IoTデバイスとアプリを活用することにより、無人での貸出や返却を実現した点です。LuupではIoTデバイスがバッテリー残量などの情報を把握し、アプリに表示します。ユーザーはアプリの情報を確認し、人を介さず電動モビリティをレンタルできるのです。またモビリティに搭載されたGPSなどにより、モビリティが目的地で返却されたことも確認しています。そのため返却時も、人の介在が必要ありません。Luupもまたデジタル技術を駆使し、新しいビジネスモデルを確立した好例といえるでしょう。

    Airbnb(Airbnb,Inc)

    Airbnbは、2008年に創業した民泊サービスです。住宅を保有する人は、民泊サービスによって新しい収益の機会を得られるようになりました。一方で民泊の利用者からみると、旅行したり行きたい場所へ行ったりしやすくなり、新しいライフスタイルを手に入れやすくなっています。
     
    民泊が普及した現在では、民泊で利益を生みだすことを目的に不動産を購入する人もでてきているような状況です。Airbnbは既存不動産の可能性を引き出したのに加え、不動産業におけるビジネストランスフォーメーションを実現したとも言えます。

    ビジネスモデルの基本要件

    新しいビジネスモデルを創出するためには、ただ単に目新しいことにチャレンジすればよいわけではありません。最低限、以下にあげる基本的な要件を満たす必要があります。

    需要性

    サービスのクオリティが高くても、需要がなければビジネスにはなりません。たとえばペインポイント(現状への不満・不便)を解消することができ、顧客の需要を満たすビジネスを目指すのも手です。たとえばairClosetの例では、「洋服を選ぶのが面倒」「いつも同じようなコーディネートになる」という顧客のペインポイントを解消できます。あるいは、潜在的な需要を引き出すといった選択肢もあるでしょう。たとえばAirbnbは、民泊によって顧客は新たなライフスタイルを実現できます。

    経済性

    顧客の需要を満たすサービスであっても、顧客に「このくらいの料金を支払ってもよい」と思ってもらえなければビジネスにはなりません。もしくは顧客以外から、広告収入を得るという選択肢もあります。上記「助太刀」の例のように、マッチング手数料でなく月額使用料を設定し、顧客がサービスを使いやすくするのも一つです。

    優位性

    「これまでにない価値」を顧客に提供することで、先行者としての優位性を獲得できます。先行して顧客を獲得したり経験やデータを増やしたりすることにより、その分だけ大きな利益を出せるのです。一方で先行者でなくても、自社の強みを活かすことで利益を増やすこともできます。既存の駐車場を活用した上記タイムズカーのビジネスモデルは、強みを活かし後発でも成功した好例と言えるでしょう。

    戦略性

    「どのようなターゲットにどんな価値を届けるか」といった戦略を明確にすることは、ビジネスにとっては重要です。たとえばDIFFERENCEは、「忙しくてお店に行けない」「オーダースーツは価格的に手が届かない」という顧客をターゲットにしています。DIFFERENCEであれば、自宅に居ながらにして専用アプリを操作することで、オーダースーツをリーズナブルに購入できるのです。

    まとめ

    ビジネストランスフォーメーションとは、ビジネスプラットフォームやビジネスモデルの変革によりビジネスそのものを改革することです。社会生活の革新まで目指すデジタルトランスフォーメーションを実現するには、その過程でビジネストランスフォーメーションが求められます。

    ビジネストランスフォーメーションによって新しいビジネスを創出するには、目新しいことにチャレンジするだけでは足りません。需要性や経済性、優位性や戦略性も意識して進める必要があります。

    ※この記事はTDSブログへ統合する以前のddpostの記事です。

    ddpost編集部

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