イノベーション創出に役立つツール7選【Hyper Island TOOL BOX】
HI TOOL BOX(ハイパーアイランド ツールボックス)は、ハイパーアイランドの方法論に基づいたメソッドやアクティビティをまとめたものです。
チームや組織の可能性を引き出し、創造的なコラボレーションを行いたいと考えている方のために無料で公開しています。
今回はその中から、課題の設定、アイデア創出、リサーチ、分析、フィードバックなど、イノベーション創出のヒントとなるメソッドやアクテビティを7つご紹介いたします。どれもすぐに実行できるものばかりですので、ぜひご活用ください。
このセッションの目的は、創造力やアイデア創出に役立つ3つの重要な原則である「量は質を担保する」「他の人のアイデアを参考にする」「私たちが思いつくアイデアはたいていどれも同じである」ことを体感するためのものです。
創造力やアイデア創出の原則を理解するための簡単なエクササイズで、楽しく発散的な思考を身につけることができます。
やり方はいたってシンプルです。立ったまま4~6人の小さなグループを作り、できるだけ多くの種類のリンゴを描きます。同じリンゴを描いてはいけません。また、喋ってもいけません。セッションの最後にグループ全体で振り返りを行い、学びやインサイト、反省点を導き出します。
必要であれば核となる学びを大きな紙に書き、壁の目立つところに貼っておくと良いでしょう。より実践的な応用としてリンゴ以外のものを使ってみるのも良いでしょう。例えば、30個のロゴを描く、30個のキャッチフレーズを書く、30台の新車を描く、などです。
取り扱うテーマとインサイトを定義すること(インサイト・ステートメント)で、ユーザーの課題と領域が明確になります。
課題を解決するアイデアを創発するため、定義したインサイトを「How Might We(私たちはどのようにして〜?)」という構文に置き換えてみてください。How Might We構文を使うことで、実現可能なソリューションについて考えることができ、様々な方法で答えを見つける機会が生まれます。How Might We構文自体はソリューションではありませんが、適切な構文を作ることができれば革新的な思考の助けになります。
作成したインサイト・ステートメントまたは明確にされた課題をみてみましょう。文頭に「How Might We… (HMW…私たちはどのようにして〜?)」と付け加えて、質問文・疑問文のように言い換えてみてください。
例:HMWへの変換例
課題:「私たちのチームはあまりにも孤立しすぎている 」
HMW構文:「私たちはどのようにしたら、チーム同士を良く結びつけることができるだろうか?」
何度かこの作業を繰り返して、様々なHMW構文を考え出してください。
そのほかの例
HMW構文:「私たちはどのようにしてチームがお互いに話し合うことを促進できるだろうか?」
HMW構文:「どのような方法でグローバルチームが世界各国にリソースを共有できるだろうか?」
このエクササイズは外部からの意見や、洞察を活用して探索・議論・創造を目的とするワークショップの質を一段と高めます。アイデアのブレインストーミングをしたり、新しい製品やサービスを開発したり、他の人を巻き込んで戦略や計画を作成する際に使用します。
参加者は同僚に電話をかけるなどしてタスクに関連する質問をし、「外部」の様々な視点から有意義な意見を得られます。
多くの場合、参加者は他者に意見を求めることがいかに簡単であるか、プロセスにとってどれほど価値があるかということに驚くでしょう。
まず、参加者が通話する際の指針となる「フォーカスクエスチョン」を選びます。これは、あなたが選んでも、参加者が選んでも良く、セッションの目的に応じて変わります。
フォーカスクエスチョンの例
・戦略を作る場合
今、私たちの業界で最も大きな課題は何ですか?
・新しい製品/サービスを開発する場合
毎日の通勤で何が気になりますか? 毎日どんなアプリを使用していますか?
・組織文化を評価する場合
今日、私たちの会社でうまく機能していないものは何ですか?
私たちの会社で働くことの一番良いところは何ですか?
参加者に現在数分の会話ができそうな友人や同僚へ電話をし、フォーカスクエスチョンをしてもらいます。
10分程度時間をとりましょう。全員が通話を終えたら、全体またはチームへ戻り、それぞれのインサイトを共有します。必要に応じて、共有されたインサイトを文書化すると良いでしょう。
このメソッドはシンプルかつパワフルに問題や課題の核心に迫るものです。タイトルが示すように、グループで問題を定義した後「なぜ」という質問を5回繰り返します。そこから得られた気付きを、問題解決のためのアイデアとして使用します。
まず、グループ内で問題定義を行います。紙やホワイトボードまたはフリップチャートの1番上に、できるだけ簡潔にまとめた問題定義文を書いてください。こうすることでグループが1つにまとまり、特定の課題に集中することができます。
例:「ドイツのオフィスにお金をかけすぎている。」「お客様は当社の最新製品の品質に不満を持っている。」 等
「なぜこのような問題があるのか?」とグループに尋ね、答えについて話し合ってください。その答えを別の簡潔な問題定義文にまとめてみましょう。これを繰り返し、問題の根本的な原因を特定できたと感じたら「なぜ」と深掘りするのを止めます。特定できるまでこのプロセスを続けましょう。
根本的な問題が明らかになったら、それを解決するためにどのように進めたいかをグループに尋ねます。次に紹介する、『アイデア&コンセプト開発』を使って、問題解決の新たなアイデアを練ってみましょう。
アイデア&コンセプト開発は、創造的なアイデアを生み出すために、グループで協力的に作業するためのメソッドです。汎用的なアプローチであり、さまざまな状況に合わせて適応・カスタマイズすることができます。アイデアを生み出すための基本原則や、グループが作業するためのステップ、アイデアの選択と開発のステップも含まれています。
このプロセスは、UKデザイン評議会が開発したデザインプロセスモデル「ダブルダイヤモンド」にヒントを得たものです。
https://www.frontiersin.org/files/Articles/55544/fnhum-07-00656-r2/image_m/fnhum-07-00656-g001.jpg
まず、鍵となる質問を用意します。
「鍵となる質問」は、切実な問題やニーズに対する解決策を模索するような、オープンで明確、かつ魅力的なものが望ましいです。
その後は、次のステップで進めていきます。
アイデア出し
一定の時間内で多くのアイデアを出してもらう
グループ化&絞り込み
共通のテーマや類似したアイデアをグループ化し、整理する。それぞれのアイデアグループにタイトルをつける
選択
進化させるべきアイデアを1つ、もしくはいくつかを選ぶ
発展
上記のステップで決定した有望なアイデアをさらに発展させる
このツールは創造的なアイデア発生の段階において、さらに発展させるアイデアを選択する場合に役立ちます。 人は新しいアイデアを生み出そうとするとき、発散の段階ではブレーンストーミングや既成概念にとらわれない発想をすることが多いです。しかし収束の段階になると、自分たちに最も身近なアイデアを選んでしまうことがあります。 これは、「クリエイティブ・パラドックス」または「クレドックス」と呼ばれています。
How-Now-Wowマトリクスは、このクレドックスを解消するためのアイデア選択ツールで、各アイデアを2つのパラメータで評価するものです。
上図のように2行×2列のマス目を描きます。
X軸はアイデアの独創性、Y軸は実行のしやすさを示します。
次に各象限にラベルを付けます。
NOW:青色
通常のアイデアで、簡単に実行できるもの。これらは達成しやすい目標やプロセスの既存のギャップを埋めるためのソリューションで、段階的な成果に繋がります。
HOW:黄色
独創的なアイデアで、実行不可能なもの。これらはインパクトのある画期的なアイデアですが、現在の技術や予算の制約の中では、今すぐに実行することは絶対に不可能です。
WOW:緑色
独創的なアイデアで、簡単に実行できるもの。“すごい”アイデアとは、軌道を変えるような変化をもたらす可能性があり、現在の状況で実行可能なものです。
クリエイティブなアイデア出しの段階で出てきたアイデアを、部屋に貼ってある大きな紙にリストアップします。
各色(青、黄、緑)の投票用のシールを3枚ずつ参加者に配布します。
各カテゴリーのベストアイデアを3つ選んで投票してもらいましょう。
参加者はベストだと思うアイデアの上にシールを貼ります。
最後に、各アイデアの下にあるシールの数を数えて分類します。最も多いシールの色が、そのアイデアのカテゴリーとなります。(例:青色シールが1番多い場合、アイデアは青色)
プロジェクトの推進において、フィードバックは重要であり、イテレーティブ(反復)なプロセスには欠かせないものです。また、アイデアの実現のためには新しい可能性を見出すための学習と成長が必要です。そしてフィードバックを受け取る側と与える側の両方に、安全な環境を確保するフレームワークが求められます。
この方法は、チームが迅速にフィードバックを収集するのに役立ち、オンラインでも対面でも実施可能です。
このフレームワークは、建設的なフィードバックを促すシンプルな設計で、少人数から100人規模まで活用できます。
「Like」は、うまくいったことや、アイデアについて肯定的なことの出発点です。
「Wish」は、何が違っていたのか、何が改善されたのかを考える出発点となります。
「Wonder」は、まだ答えの出ていない質問やアイデアの出発点となります。
また、「Wonder」は、「What If(もし~だったらどうなるだろうか)」と言い換えられます。
例:
「Like(好きだったこと、良かったと思うこと):チームをペアに分けて作業をしたのが良かったです。」
「Wish(こうだったら良かったのにと思うこと):
ユーザーテストの前に、計画を話し合うためのミーティングをしたかったです」
「Wonder(疑問点・仮定・仮説など):新しいチームメンバーをハッカソンでスピードアップさせたら、プロセス自体を加速させることができるのでは?」
各参加者に十分な数の付箋を渡してください。分類しやすくするために付箋の色を分けたり、参加者それぞれが付箋に 「 Like / Wish / Wonder」とタイトルをつけても良いでしょう。
各参加者に3~5分程度の時間を与え、付箋1枚につき1つの内容を記入してもらいます。
1つの付箋に複数の内容を記入しないように気をつけましょう。
1人1人に発言してもらい、フリップチャートやバーチャルホワイトボード内で付箋を分類し、適切な見出しを付けましょう。
フィードバックを受けた人は、受け取るだけにしましょう。相手と協議したり、言い訳をしてはいけません。
フィードバックをくれた相手には、単純に「ありがとう」と感謝を伝えてください。
印象に残った言葉やフレーズをメモしておくと、次のアイデアに繋がるかもしれません。
※この記事はTDSブログへ統合する以前のddpostの記事です。