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ワークショップ型研修|インナーブランディングを観点とした人材育成とは?

#ブランディング#人材育成

公益財団法人 日本漢字能力検定協会 さま

公益財団法人 日本漢字能力検定協会さま普及部門の研修をテイ・デイ・エスのブランディングメソッドを活用したワークショップで支援させていただきました。この記事では、前半に研修概要、後半に研修実施の経緯や狙い、ポイントをインタビュー形式で紹介します。

対応内容 ワークショップ型研修
期間 約2ヶ月

研修概要

公益財団法人 日本漢字能力検定協会さま普及部門の研修を2日間実施。1日目は課長補佐・リーダークラスを対象に、2日目は普及部門職員40名を対象に、それぞれブランディングメソッドを活用したワークショップ型の研修で支援をさせていただきました。

研修1日目|協会の「提供価値」と「パーソナリティ」の可視化

課長補佐・リーダークラスのメンバー8名が参加。ブランディングメソッドを活用したワークショップ形式で進行し、前半に「提供価値の整理」、後半に「パーソナリティの整理」を実施しました。前後半を通じて、これまで共通認識として言語化しきれていなかった協会の「提供価値」や「パーソナリティ」の整理をしました。

<WORK1>
「提供価値の整理」のワークショップでは、協会が持つ「事実」「特徴」「強み」について、顧客にどのような便益を提供しているのかを「機能的価値」と「情緒的価値」に分解して整理しました。

<WORK2>
「パーソナリティの整理」では「写真分類法」という手法を用いて、協会にとって「ふさわしくない姿」「現状の姿」「理想の姿」をそれぞれ視覚的に整理し、形容詞を使って言語化しました。「理想の姿」については、先行してWORK1で明確にした「提供価値」にふさわしいパーソナリティを導きだしていきました。

WORK1、WORK2ともに、各自の考えを発言し、議論をしながらアウトプットを作成することで、表現的な整理だけでなく参加メンバー間の共通認識や共感、納得感の醸成を目指しました。

参加メンバーが深い理解を持ってこれらの策定に携わることで、アウター向けには一貫性のある核心的なメッセージの発信を行っていただき、インナー向けには協会内の伝播の中心となり、今後の普及活動を牽引していただくことを狙いとしています。

研修2日目|協会の提供価値やパーソナリティに根差した個人目標の策定

2日目は、普及部門職員40名を対象に、個々の目標と具体的な行動計画を設定するワークショップを実施しました。冒頭に研修1日目の参加メンバーが策定した協会の「提供価値」「パーソナリティ」を共有したうえで、その内容を踏まえて各個人の目標を決めていくというものです。

ワークショップでは、理想の協会像に近づくために、以下のようなポイントを順を追って整理しました。

  • 各個人が自身の業務で「誰に」「どんな提供価値」を届けるべきか

  • その実現に必要なステークホルダーは誰か

  • その実現を妨げる障害は何か

  • 障害を克服するために自身がどんなアクションを取るべきか

個人目標という主観的になりやすいテーマなので、個人ワーク、ペアワーク(2名)、グループワーク(複数名)を織り交ぜて、客観性を持たせる工夫をしました。

対談レポート(福さま ✖️ 下山)

今回、ワークショップ型の研修を採用していただいた普及企画部部長の福さまに、なぜブランディングメソッドをベースにした研修を選んでいただけたのか、その経緯や狙いやポイントについて、研修を企画・ファシリテーションした下山からインタビューをしました。マネジメントや人材育成に関するヒントが散りばめられた対話をぜひ一読ください。

<公益財団法人 日本漢字能力検定協会|普及企画部部長> 福 貴久 さま(写真左)
<株式会社テイ・デイ・エス|ブランディングディレクター> 下山 裕策(写真右)

研修導入の背景|普及企画部が直面した課題と打開策

<下山>
今回は、研修をご依頼いただきありがとうございました。福さんが普及企画部を管掌される中で、協会の行動原則にある「なにより顧客起点」「どこまでも考え抜く」「まじめな改革者」「変えるワクワク、変わるワクワク」をどのように実現しようとされているのかをぜひ聞かせてください。

<福さま>
2023年に着任した際、協会の行動原則を体現するために何をすればよいか考えました。その際、まず直面したのは「既存業務に対する前回の改善・反省の意識が強く、社会の変化や新たな顧客ニーズに合わせた革新的な発想が弱い」ということ、それから「広報などのクリエイティブ業務に十分時間を割けず、顧客へ本来の価値を届けきれていない」ということです。

これらの課題を打破するために、昨年「問題発見・課題解決」をテーマにした研修を行い、「違和感」「もっと◯◯できたらよいのに」を大切にする価値観を定着させました。今年はその成果を土台に本来の価値を整理するため「提供価値の言語化」の研修をテイ・デイ・エスさんに依頼しました。

<下山>
ありがとうございます。今回の提供価値の言語化は、社会の変化を乗り越えるうえでも重要だと捉えています。このテーマを選ばれた背景として「本来の価値を届けきれていない」と感じる具体的なエピソードがあったのですか?

<福さま>
国際化が進めば他言語が重視され、タブレット普及やICT教育が進めば手書きの機会が少なくなりがちです。こうした時代背景によって「漢字の価値」が変化している光景を見て、「私たちは漢字そのものの価値をきちんと理解できていないのではないか」と感じはじめました。

よく「ドリルではなく穴を売れ」という例えがありますが、漢検で考えると「漢字能力を証明する」だけではなくて「日本語の理解をより深める」「自己成長の活路にする」といった価値もあるはずです。

教養や自己成長なども含め、漢字を学ぶことで得られる、時代に左右されない価値も言語化しておかなければ、漢字の価値が矮小化されるという危機感を感じて、「提供価値の言語化」をテーマに選びました。

<下山>
より恒久的な漢字の価値を明確にしたいと考えたのですね。重要な研修テーマを依頼いただきありがとうございます。私たちが提供させていただいた研修を経て、普及企画部さまはどのように進むのでしょうか。

<福さま>
今後はDX推進を目標にしています。DX化とは単なるデジタル化ではなく、顧客への価値提供の転換だと考えています。その実現のためには、協会が提供するべき価値を明確にして、それを基軸に計画的に行動する必要があります。その意味でも「提供価値の言語化」を推進しておく必要がありました。

研修1日目の振り返り|協会全体の視点で討議することで生まれた一体感

<下山>
今回の研修1日目は、課長補佐・リーダークラス8名が参加されましたが、特に印象に残った点はありますか?

<福さま>
普段から、各課の看板を背負っているメンバーなので、垣根を越えた議論やワークが上手く機能するかという懸念はありました。ただ始まってみると自由闊達な議論になっていたのが非常に印象的でした。協会全体を対象にした提供価値や方向性の議論では、各メンバーがとても近い意見を持っているのも驚きでした。

それと個人的には「機能的価値」の上位概念に「情緒的価値」があるというのが発見でした。これまで各機能を個別に考えていたのですが、それぞれが紐づいた図式として整理され、メンバー間の共通認識になったのはとても良かったです。

<下山>
かなり議論が活性化していましたね。私もそれはとても印象的でした。今回、頭をリフレッシュしたり、閉塞感を和らげる効果を狙って、オフィスではないレンタルスペースを会場としたり、ワークショップ実施にあたっての約束事として、上下関係や立場を気にせず発言するルールを強調したので、その効果もあったかもしれませんね。

<福さま>
そうですね。通常業務で、地べたに座って未来を語り合うことはなかなかないですから(笑)あとは、協会全体という大きな概念を対象に話を進めたことで、上下関係や部門間の枷を外した雰囲気をうまく作り出してもらえたのが大きな成功要因だと思います。

建設的に議論ができたこの研修の雰囲気を現場に持ち込んで、日々の業務に活かすことも管理職の務めだと感じました。

研修2日目の振り返り|主観と客観を交えた目標設計

<下山>
2日目は、普及部門全体40名という大人数に対して8時間の研修でした。少し詰め込んだ形で、集中力を高めて乗り切ってもらったかなという印象ですが、福さんから見てどうでしたか?

<福さま>
40名に対して1名のファシリテーターで実施することに少し不安がありましたが、下山さんのつかず離れずの秀逸なリードもあり、私たち管理職も補助的に動くレベルで非常にスムーズでしたね。

検討が止まりそうになった際に、俯瞰した意見や他社事例などを提供してくれるので、メンバーも滞りなく受講できたと感じました。それと深く自分を掘り下げる個人ワークの主観と、独りよがりにならないようグループワークを差し込む客観の行き来のバランスが絶妙だったので、全員が集中して主体的に参加できたと思います。

ただ、今回、副次的な課題として、若手職員数名は業務ではなく自己スキルに対する改善策を目標にあげていたので、ここは目指す成果ではありませんでした。ですが、これも該当メンバーの解決すべき課題だと思いますので、今後の育成に活かしたいと思います。

<下山>
ありがとうございます。今回の研修は、成果物の「目標設計」だけではなく、その構築の「ワークフロー」を手法として学んでいただけたので、改めて少し時間をかけながら個別に実施するのも良いと思います。

研修後の成果|部門最適から協会最適の思考へ

<下山>
実は今回、「他責思考ではなく自責思考で考えよう」という裏テーマを持って、ステークホルダー分析やクリティカルシンキングの要素も交えてワークショップを設計していましたが、研修後に協会内の変化は感じていますか?

<福さま>
そんな裏テーマがあったんですね。大きな変化を2つ感じています。一つは、協会のパーソナリティが明確になったことで「理想に近づいているか?」という共通の尺度が機能しています。例えば、この企画は協会の理想に近づく施策なのか?という観点の議論がよく聞かれます。

もう一つは、部門間の壁が低くなり、部門を超えた連携が進みました。少し感覚的ですが、個別部門の最適化を唱える言葉が減って、協会全体にとっての最適解を求める思考が浸透し始めていると感じます。

<下山>
共通の物差しとして使っていただけているんですね。共通する尺度や言語があると、それまで控えていた発言が話しやすくなったり、議論が活性化するので、一体感を醸成しやすくなりますよね。

<福さん>
今回、特に1日目のメンバーはその傾向が顕著でした。ほとんど管理職が介在せず、自由闊達に意見交換されたことが大きかったと思います。私も管理職として、現場の自主性を尊重することで成果につながることも多々あると改めて感じました。部下のやる気を削がない環境作りを意識しながら、引き続きマネジメントに取り組みたいと思います。

<下山>
自主性を尊重しつつ、全体の方向性を示す福さんのマネジメントスタイルやバランス感覚は、私も勉強になりました。今後もぜひ協力させてください。本日はありがとうございました。


「提供価値」や「パーソナリティ」の整理、ワークショップ型研修について

組織がステークホルダーに対して「どのような価値を与えられるのか」また「社員が組織の顔としてどんなマインドを持ち振る舞うべきなのか」について目指すべき方向性を明確にし、個人やチームのアクションを促進するワークショップは、多くの組織に有用だと考えています。インナーブランディングやマネジメント、チームビルディングなどの課題感をお持ちのみなさまはぜひ気軽にご相談ください。

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